ヒップホップと映画ふたたび・・・の前置き

 しつこいが、2月はブラック・ヒストリー・マンス。1965年2月21日にマルコムXが暗殺されたので、今週は特に、マルコムX関係の記事がどこも多い。「ブラック・ヒストリー・マンス:必読書」(ガーディアン)でも、一番にマルコムXの自伝があげられている。

 そんななかで見つけたのは、「ブラック・ヒストリー・マンス:2015年2月以降に見るべき映画」というガーディアンの記事である。そこで紹介されている映画はこんな感じ。

 

★今年のサンダンス映画祭USドラマ部門で審査員特別賞を受賞した学園コメディもので、ハーレム出身のラッパーA$AP Rockyフォレスト・ウィテカーが出演する『DOPE』。


A$AP Rocky Makes Film Debut in Sundance-Bound 'Dope' | Rolling Stone

 

★同じく、サンダンス映画祭USドキュメンタリー部門審査員特別賞を受賞した、2012年フロリダで起こった白人による黒人青年射殺事件を題材にした『31/2 minutes』。


Jordan Davis Documentary '3 1/2 Minutes' Heading to HBO | Rolling Stone

 

★伝説的な黒人のミュージシャンを扱った映画

 Miles Ahead マイルス・デイヴィス

 クイーン・ラティーファが演じるベッツィ・スミスの映画

 ゾーイ・サルダナ演じるニーナ・シモンの映画

 

★キャサリン・コリンズによる1982年の、黒人中産階級を描いた『Losing Ground』


Losing Ground, a film by Kathleen Collins | Facebook

余談だが、このころは小説でも、テリー・マクミランやグローリア・ネイラーといった作家が黒人中産階級を描いた(もちろん一枚岩ではない描き方で)。

 

★バンリュー(パリ郊外の貧しい居住地区)出身の白人女性セリーヌ・シアマ監督による、パリの公営住宅に住む4人のアフリカ系の少女の成長物語を描く『Girlhood』


Girlhood review: an exhilarating, thought-provoking look at life inside a girl gang | French Film First | The Guardian

 

★アフリカにあるモーリタニア・イスラム共和国の監督アブデラマン・シサコの『Timbuktu』。イスラム原理主義に支配されたある町の痛ましい物語。

ガーディアンによれば、この映画は『セルマ』同様に、最近の世の中の風潮と無関係のものとしてみることは難しい、とのこと。

 

エディ・マーフィ以来のコメディ俳優と絶賛されるケヴィン・ハートが主演するコメディ『The Wedding Ringer』

 

スパイク・リーによる1973年の黒人カルトヴァンパイア映画『Ganja and Hess』のリメイク『Da Sweet Blood of Jesus』

 

★34歳のドキュメンタリー・フィルム監督Darius Clark Monroeのデビュー作で、スパイク・リーがプロデューサーとなった『Evolution of a Criminal』。監督は、16歳で銀行強盗をしてつかまり、そのあとニューヨーク大学のフィルム・スクールで学んだが、なにゆえに彼が銀行強盗という向う見ずな行為をおこなってしまったか、ということを映画にしたらしい。

 

ここまでは、いまストリームや映画館でみられる、あるいはこれから観られる映画だが、以下は、テレビ(ゆえにアメリカのみ)とDVDで観られる映画。

 

★サミュエル・D・ポラード監督(『ジャングル・フィーバー』や『クロッカーズ』の編集もやった)による、劇作家オーガスト・ウィルソンのドキュメンタリー(スパイク・リーもまたかんでいる)『American Masters: August Wilson: The Ground on Which I Stand』。

 

★1983年生まれのジャスティン・シミアン監督のデビュー作で、2014年のサンダンス映画祭USドラマ部門でSpecial Jury Award for Breakthrough Talentを受賞した『Dear White People』。全米の教育機関で実際にあった、黒人に扮しておこなうパーティでの事件を題材にした風刺映画。


Justin Simien's Open Letter - Page - Interview Magazine

 実際、あるサイトでは、「人種主義大学13校でのパーティの様子:Dear White Peopleは大袈裟でもなんでもない」と題して、そのblackface party(黒人に扮してパーティをおこなう)がどんなもんだか紹介している。どの写真も最悪である。


13 Racist College Parties Prove 'Dear White People' Is Real

 

 しかしどの映画もほんとうにおもしろそうである。

 で、ほんとうに触れたいのは、A$AP Rockyの映画とヒップホップの映画なんだが、スパイク・リーやヒップホップの映画というと、80年代から90年代にかけて、Do the Right Thing、New Jack City、Boyz N the Hood、Tupacも出演したJuiceといろいろあって、え、またなの?とおもわなくもないが、時代が変わって、ヒップホップと映画の新しい結びつきが生まれているのかどうなのか。関連するガーディアンの記事についてまとめようと思ったけど、つづきはまたにしたい。そしてDopeを必ず見なければ。