2月はアフリカ系アメリカ人の歴史を讃える月

 2月のアメリカと言えば、Black History Monthである。これまで無視されてきたアフリカ系アメリカ人のアメリカにおける貢献や功績、歴史を讃える月。各地でいろんなイベントが催される。2月にたまたまNYに行ったとき、ニューヨーク州立大学マーティン・ルーサー・キング3世の講演会が行われていて、行ったことがある。あれもその一環だったんだな。

 もともとは、ハーバード大学を出た歴史家カーター・ウッドソンと、彼の設立した組織『アフリカ系アメリカ人の生活と歴史学会』が、ニグロ歴史週間を作ろう!と1925年に思い立ち、1926年、ちょうどリンカーンとフレデリック・ダグラスの誕生日月でもある2月に一週間、最初のイベントが行われたことに端を発している。反応が良く、1960年代の公民権運動を経て、1976年に、イベント開催の期間が一週間からひと月に延びた。

 Democracy Now!でもBlack History Monthにちなんで、さまざまなゲストを呼んだり、パフォーマンスを見せたり、Black Lives Matter Movementについてのインタヴューを行ったりするらしく、非常に楽しみである。ぜひ引き続きメモっていきたい。Black Lives Matter Movementとは、2012年2月にフロリダで丸腰の17歳の黒人の少年が白人のGeorge Zimmermanに銃で撃たれ死亡し、やはりその後の裁判でこの白人が無罪となった後に、立ち上げられた組織の名前ではあるが、ここでは、"Black Lives Matter"(黒人の命は大事)をスローガンに掲げる運動を全般的に取り上げるのかもしれない。


Black Lives Matter: Tens of Thousands March Across U.S. Against Police Killings | Democracy Now!

 武器を持たず、抵抗もしない黒人を白人や白人警官が殺して無罪となる、という話でいつも思い出すのは、1991年のロドニー・キング事件であるし、1997年の『現代思想』のブラック・カルチャー特集に載ったジュディス・バトラーの「危険にさらされている/危険にさらす」である。一部の白人には、黒人が自らを守ろうと頭や顔にかざす手が、恐怖なのである。そのように恐ろしい目にあったのだから、銃を抜くのは当然だ、と。この時、幸いにもロドニー・キングは殺されなかったが、複数の警官が彼を取り囲んで殴る蹴るを続ける映像はすさまじく恐ろしいものだった。だけどやっぱり危険な状態にいたのは警官のほうだったのだ、となぜかなってしまうのである。この事件の後に、アイス・キューブはdeath certificateというアルバムを出した。ロス暴動も起こった。何も変わってないじゃないか。