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イモ虫(Caterpillar)から蝶(Butterfly)へ

 エリック・カールはらぺこあおむしの話ではない。ケンドリック・ラマーだ。

 

 To Pimp A Butterflyが出た後のレビューラッシュのなか、とりあえず、アルバムを聴いた後で見ようと放っておいたのがとっておきの映像があるのだが、それは、Rob MarkmanによるMTVのケンドリック・ラマーへのインタビューである。このインタビューは、Markmanのラマーにたいする敬意と愛ゆえに、たいへん興味深い話をラマーから聞き出すことになっていて、このインタビューを観ていてほんとうによかった、アルバムがまたさらに楽しめる、と思える内容なのである。

 

m.youtube.com

 

 なかでもとりわけ、Markman自身ですら思わず唸ってしまったアルバムについての楽しい話は、タイトルについてである。当初、このアルバムのタイトルはTu Pimp A Caterpillar(イモ虫)だったらしい。それは、このタイトルの単語の頭文字をとると、TuPACとなるからである、とのことなのだ!そのCaterpillarをButterflyに変えたのは、「人生の輝かしい部分」について示したかったから、そして「自分が有名であるということを良いことのために利用したかったから」、さらには、「自分が有名であることをとおして、この業界にヒモにされないようにすること、を表してる」と言っている。Pimpという言葉はどうしても否定的というか、はっきり言えば、ぜんぜんいい意味ではないわけであるが、さいしょこのタイトルを聞いたとき、なぜこの言葉を使うのだろうと、とても不思議に思ったのだが、このインタビューを聞いて、なんとなく、ほんとうになんとなく、言いたいことがわかった気がしたのである。否定的な意味だからといって、まったく触れない、というのではなく、こんな形で意味をずらしながら、とくに若い人たちに、希望とか、こんな風に受け取ってほしいということを伝えられるなんて、ケンドリック、すごすぎる!と感嘆したインタビューだったのである。

 

 また、もう一つ興味深かったのは、Rob Markmanが、ゴーストライトについての質問をしたことだ。昔はヒップホップにとってゴーストライトというのは禁じ手だった(もちろんそうだろう。ライムが命みたいなもんじゃないんだろうか。韻も踏めないラッパーなんて!みたいな)ということなのだが、どうも最近は事情が変わってきてるよね、という話なのだが、じつは、ケンドリック・ラマーも、ゴーストライティングをしている(もちろん書いてもらうんじゃなく、書いてあげるほう)というウワサがあるのである。もちろん、この問題にはどこまでも曖昧なラマー(当たり前である)なのであるが、たとえば、以下の記事では、The Gameのアルバムで、ラマーとJ.Coleがwriting creditに名前があがっているんだけど歌は歌ってない、というような曲があるらしく、正確にはゴーストライトといえないような気がするけど、まあ、こういう仕事もやってるみたい。ド素人の考えからすると、新旧コラボってことで、ラマーとJ. Coleにもラップしてもらったほうが売れるんじゃないの?という気がするのであるが、なにか、われわれにはわからない一線があるらしい。

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 いずれにしても、たいへんにおもしろいインタビューなのであって、引き続き、続きを見て行きたいが、ラマーについてはgood kid, m.A.A.d. cityについてもまだまだほかにメモっておきたいことがあるので、このインタビューの続きがメモれるかは不明である。インタビューというのは、インタビュアーの力量次第なのだなと感激しながら観たのであるが、そういえば、なんの関係も無いが、最近感激したインタビューは『現代思想』6月号の日埜直彦氏による磯崎新へのインタビューだった。素人だからぜんぜん難しいことはわからないけど、茶室の話は心底おもしろかったし、磯崎新というひとは無意識に天邪鬼に時代の最先端をいくひとなんじゃなかろうかと、単なる感想を抱いたのであった。建築に注目しない家って、いったいなにを求めて家を建てようとおもうからあんな家になるんだろうとおもうんだけど、そういえば最近近所でも多いなあ・・・と茶室の話を見ておもったのだ。ちなみにつくばの建物が引用で作ったというのが、ラップ好きには気になってネットで探して見てみたけど、やっぱり建築について知識もないし、もちろんどこがどう引用なのかわからなかった。ラップにもケンドリックにもなんの関係も無いメモ。