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よく言った、そしてよくやったチャンセラー

 意外である。正直、意外だったのである。チャンス・ザ・ラッパーこと、チャンセラー・ベネットが、こんなところで有言実行の男だったとは。

 

 引き続き、バルティモアに関することなのであるが、ビルボード誌のインタビューでバルティモアでのことに関して意見を求められたチャンスが、「完璧な答え」をしたことと、この答えが、彼がコミュニティで行っていることに一致することを、Music.Micの、お馴染みのライターが伝えてくれている。

 

(Source: Tom Barnes, "Chance the Rapper Speaks Out on Baltimore in a Bold New  Interview," Music. Mic, May 6,2015)

Chance the Rapper Speaks Out on Baltimore in a Bold New Interview - Mic

 

 バルティモアに言及してチャンスが言ったことは、「黒人の男として、知識や意見を持つ責任があるとはおもう。いつも人々に影響を与えるのが影響力のある人間としての仕事だとは、必ずしもおもわないけど。人々には情報のほうがもっと重要だから」というものなのだが、チャンスは「情報不足の情報元」やふるいにかけられていない情報元から得た情報というのはプロパガンダになりやすいとおもっているので、自分の話を聞いてもらうということよりも、人びとが自分で知り、自分で考えるよう促すことこそが自分の立場だと考えている。そもそも、彼の人種に関するスタンスはこうだ(今度はComplex誌でのインタビューからの引用をしているMicの引用)。

"I try to explain to people a lot: There is no singular black experience or black opinion or black thought," Chance told Complex. "We are united in a lot of experiences. Because I'm a black man, the life that I live is a part of the black experience, but it's not something I can just pass off as the ultimate."

 

「自分は何度も何度もみんなに説明しようとしているんだ。単一の黒人の経験や黒人の意見や黒人の考えなどといったものはないって。」「ぼくたちはたくさんの経験で結ばれている。ぼくは黒人の男だから自分が生きてきた人生というのは黒人の経験の一部なんだけど、でもそれは結論として押し通せるようなものではないんだ。」

 

 このように言うチャンスは、だから、「影響力のある人間」ゆえに可能な、なにか大声で意見を言うことで影響力を行使するというのではなく、あくまで、人びとが言いたいことを言うために必要な資源を与えることこそ、「影響力のある人間」がやるべき重要なことだと考えており、ここからが重要なことなのだが、シカゴ出身のチャンスは、地元シカゴの若者たちにたいして、実際にそういった「資源」を提供する活動をしているらしいのである。たとえば、公立高校に寄付をしている。また、高校生が、詩でも、ラップでも、ダンスでも、討論でも、なんでもいいので、彼らが自分を表現できるよう、シカゴ文化センターのなかでopen mic nights seriesというイベントを主催している。このイベントに関わっているのは、チャンスのプロダクションユニットであるthe Social Experiment,、シカゴ市の文化事業・特別行事部門Chicago's Department of Cultural Affairs and Special Events)、そしてYoung Chicago Authorsというシカゴの若者の文化活動を支援する組織。

www.dnainfo.com

 

 そしてもちろん、「奇抜な方法で好きなように自分自身を表現することこそヒップホップにほかならない、ということを絶えず示し続け」、若い人たちにそれができるよう励まし続けるチャンスらしく、現在レコーディング中の3枚目のアルバムは、もちろん、無料なのである。

 

 3枚目のアルバムは、Surfというタイトルで、これはthe Social Experiment Projectsという一連のプロジェクトの一部として、バンドthe Social Experimentとともにレコーディングしたもので、Surfにおいて、かどうかは不明として、Frank Ocean、Migos、Rick Rubin、J. Coleのようなアーティストと仕事をしていると本人が語ったことを伝えたのはPitchfork誌である。

pitchfork.com

sox6.jpg

(Source: Donnie Trumpet HP) 

 トランペット奏者のニコ・シーガル(真ん中のかた)の別名義であるDonnie Trumpet(HP→Donnie Trumpet)とthe Social ExperimentのSunday Candy(short film)という曲のビデオを見ることができる。

www.youtube.com

 

 いろんな意味で幸せな気持ちになれた。ありがとう、チャンセラー・・・