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ケンドリック・ラマーのショート・フィルムm.A.A.d.

 ケンドリック・ラマーのドキュメンタリー短編フィルムが、2014年夏に行われたサンダンスNEXT FEST(これは、サンダンス映画祭の発案者ロバート・レッドフォードが、普段観られないアーティストの映画を観れるようにと、しかも音楽と映画をつなぐという目的で作られたらしいが、2014年が初だったのだろうか?)でお披露目されたらしく、今後はLAのMOCAで、なんと3月21日から7月27日の4ヶ月間も観ることができるとのこと!

 

Kendrick Lamar’s ‘M.A.A.D.’ Short Film To Be Exhibited For 4 Months In Los Angeles | Vibe

By: / November 24, 2014 from VIBE
 
 監督は
Kahlil Joseph
Kahlil Joseph
Kahlil Joseph(左)、音楽担当はFlying Lotus(右)なのであるが、この短編フィルムが楽しみなのは、あの、暗い緊張感が漂い、「映画を観る経験のようなものとして」(as a cinematic experience)聞かれるよう作られた、といわれるアルバムが実際に映像として見られる、という点にある。
 
 Okayplayerの記事によれば、LAのサウスセントラルが背景でもあり主役でもある、この映画は、怒涛のように入れ替わり立ち代り現れるアメリカにおける黒人の生活を映し出した写真をちりばめたいくつものショット(shots interspersed with)を満載した夢のようなシーケンスから成っているらしい。それはコンプトンあたりで日常生活を送る人びとの写真だったり、リンチや警察の蛮行の映像を切り取った場面(clips)だったり、ラマーの子ども時代のホームビデオからとってきた場面(home footage)だったりするようである。
 
 
 そして、この記事はここでなんと、ラマーの短編映画を、21世紀における、Sun RaのSpace Is the Placeのイメージを喚起するもの、と言うのだ。Sun Raのこの超アンダーグラウンドな映画は、ジョン・F・スウェッドの『サン・ラー伝』(湯浅学監修、河出書房新社)によれば、「ドキュメンタリーでもあり、SFでもあり、黒人アクション映画(ブラックス・プロイテーション)でもあり、修正主義派聖書物語作品でもあった」(325頁)らしい。この記事によると、Kahlil Josephのこの仕事(ラマーの短編映画)は、Sun Raの言う"Equation-wise – the first thing to do is to consider time as officially ended.  We’ll work on the other side of time. "「等式という考えからいって、なによりもまず、時間というものを、はっきりと終わったものとして考えるべきだ。時間の別な側面と向き合うのだ」という法則を持った世界のなかに存在するものである、ということである。サン・ラーの映画を観ていないし、ラマーの映画も観れないので、どこがどうだといえないのだけど、この完全に消え去ってしまったといわれる、しかも未来主義で宇宙を夢見るサン・ラーの映画をイメージさせる映画というだけで、期待が持てるではないか。さらに、アミリ・バラカの引用が、銃の音にかぶさるように現れたりするらしい。意味深である。
 
 サン・ラーの引用のセリフが聞ける部分を、YouTubeで観ることができる。見るからに怪しい映画である。
 
 ホームビデオのなかに出てくる1992年3月23日という日付について、この記事は、『タイム』紙のこの日付の表紙を飾ったのがビル・クリントンとポール・トソンガスで、その年の大統領選の民主党の候補者だったのだが、その同じ号(issue)には、アカデミー賞の二つの部門(best director監督賞、best original screenplayオリジナル脚本賞)に『ボーイズン・ザ・フッド』でノミネートされたジョン・シングルトンが紹介されていたことに注目する。LAのサウス・セントラルを描いた『ボーイズン・ザ・フッド』から20年、「この狂った街mad cityの生活をとおして、この街を案内してくれるのは、若きラマーである」とのこと。『ボーイズン・ザ・フッド』を見直して、必ずこの短編映画を観なければ。そしてgood kid, m.A.A.d. cityを聞きなおさなければ。ところで日本で見られる日は来るのだろうか?いまやゴダールトリュフォーの短編すらYouTubeで観られる時代である。YouTubeでただで、とはいわない、ぜひ何らかの形で観ることができますように。
 
 
 “gOOD KID MAAD CITY
A SHORT FILM
BY: KENDRICK
LAMAR” [sic] - See more at: http://www.okayplayer.com/news/kendrick-lamar-kahlil-joseph-short-film-m-a-a-d-preview.html#slidが、実際に映像として観られる、という点にある。
as a cinematic experienc聞かれるために作られたアルバムが、ほんとうに映画になった、という点にある。